沢井箏曲院の歩み
■ 設立まで
沢井忠夫は、東京芸術大学在学中から邦楽ジャンルにとらわれない様々な音楽活動を行い、将来を嘱望されるホープとしてテレビやラジオで度々取り上げられていた。その活動の広がりに合わせるように、1966年頃から箏曲を習いたいという希望者が集まり始めた。 68年に「沢井忠夫・沢井一恵門下生によるお箏の勉強会」が産声をあげ、74年には「沢井箏曲研究室」と名称を変更。忠夫・一恵夫妻のレッスンやコンサート、門下生の勉強会や演奏会を通じて、次第に生徒達も増え、その活動は大きな広がりを見せるようになる。
■ 設立後の活動
1979年2月24日、東京・霞が関で発会式が行われ、「沢井箏曲院」は誕生した。さらに同年、沢井忠夫が若き演奏家たちを率いる「沢井忠夫合奏団」が発 足。第1回の定期演奏会以降、「日本最初の箏の職業的合奏団になりうるかもしれない」(小島美子)など評価は高く、現在に至るまで数々のコンサートを開催 してきた。
沢井忠夫、あるいは箏曲院が主催したコンサートは数多く、『現代に生きる箏』(83年)、『箏曲NOW名曲演奏会』『夏休み子供コンサート』(85年 ~)、『沢井忠夫自作自演』(86~87年)、『箏の祭典』(89~90年)、『TEN&SHAN』(91年)、『箏の祭典』(94年)等々。海外の音楽 祭からも多くの招待を受け、日本音楽の海外への発信にも積極的に取り組んだ。
指導者の育成にも力を注ぎ、80年より沢井箏曲院の資格認定審査と試験を実施している。また、演奏者の表現力・合奏技術の向上等を目的とした『沢井箏曲院 合奏ゼミナール』の開講(84年~)、古典を学び鑑賞する『古曲三昧』(86~89年)等々、さまざまな企画も実施してきた。
沢井忠夫が1997年4月に他界した後も、その音楽的精神を引き継ぎながら沢井箏曲院の活動は全国はもとより、海外でも展開され、会員自ら企画する国内・ 海外公演も数を増して、箏音楽の普及に大きく貢献している。他流派および邦楽界以外の多彩なジャンルとの交流も積極的に行い、伝統・古典的なものを基本に おきながらも、箏という楽器・音楽が常に世界中の音楽に参加できるものとしてあるよう、常に新しい可能性を模索しながら未来に向けて活動を行っている。
■ 組織
国内には9支部(北海道、東北、関東、北陸、東海、関西、中国、四国、九州)が置かれ、2007年現在の会員数は約3,000名。海外には2支部あり、ハ ワイ支部は1986年、シドニー支部は1989年に設立され、いずれも日本人はもとより、現地の人々が多く参加している。
ニューヨーク、サンフランシスコ、オランダ、モスクワ等々においても箏曲院会員が、他ジャンルの演奏家などともに活発な活動を行っている。またハワイ大 学・ウェスレアン大学(米コネチカット州)・アイオワ大学(米イリノイ州)・カリフォルニア大学サンディエゴ校(米カリフォルニア州)・モナッシュ大学 (豪メルボルン)・フィリピン大学(マニラ)・フロリダ大学(米フロリダ州)等々での箏曲科開講にも携わってきた。
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